この地球上に存在するさまざまな生き物の瞳に現れる現象、オッドアイ。特に猫、中でも白い猫にそのオッドアイ現象はよく起きます。
片や青や水色、片や金色赤胴色といった組み合わせがとても美しく、その希少性の高いことから、世界各国で縁起の良い存在として大事にされてきました。
はるか昔から人々を魅了してやまないオッドアイ。
生き物の中でも特に猫、その中でも白猫にオッドアイが多い理由をお伝えします。
オッドアイとは
オッドアイ・キャットの名前の由来
オッドは英語で「奇妙な、変わった」という意味です。
右と左の目の色が異なることから「変わった目の猫」=「オッドアイズキャット」と呼ばれるようになりました。
もちろん人間やほかの生き物にもオッドアイはいますが、オッドアイと検索すると両目の色が違う猫が真っ先に出てくるようになり、世間全体で「オッドアイ=猫」と広く認知されています。
左右の瞳の色が違う秘密
青と金色の目の色のコントラストは美しく、いつまでも見つめていたくなりますよね。
この美しい目は、生まれた時からのものではありません。
猫は赤ちゃんの頃のみ、「キトンブルー」と呼ばれる暗い青色の瞳をしています。
子猫の頃は瞳のメラニン色素が安定しないことが多く、その時期のみ現れる不思議な青色の名称を「キトン(子猫)ブルー」と呼ぶようになりました。
早ければ生後2カ月ほどから、瞳の中の色素が沈着していき、見慣れた本来の目の色に変わっていくのです。
大人になった猫の目の色は、大まかに4種類に分類されます。
よく見られる順でみてみると、
- イエロー
- カッパー(赤胴、または薄茶)
- グリーン
- ブルー
これらは、毛の色や遺伝によってメラニン色素の量が決められていて、成長とともにキトンブルーから、本来のそれぞれが持つ色に変わっていきます。
オッドアイになる原因は、その成長過程で、片方の目だけメラニン色素が少ない色素異常が起きてしまったからです。
オッドアイになる原因
メラニン色素が片方の目だけ少なくなる原因は、もともと持っている遺伝子の異常によるものだと言われています。
その場合は特に問題はありませが、中には後天的にオッドアイになってしまうケースもあります。
それは、事故や病気により片方の目にダメージを負い、メラニン色素の量が減ってしまうことが原因です。
白猫に多いオッドアイ!その秘密に迫る
白猫が持つ白色遺伝子が原因?
汚れ一つない真っ白な毛皮を作る「W」という遺伝子は、他の毛の色を抑え込み、絶対優性遺伝子として存在します。
そのため、W遺伝子をもつ猫は必然的に白一色になるのです。
このW遺伝子は、黒や茶といった色や柄を作る遺伝子細胞を抑え込んでしまうため、毛皮は真っ白になり、目の色もメラニン色素が薄くなり青色になってしまうのです。
W遺伝子がなぜ作られるのかはまだ解明されておらず、メラニン色素の量が定まらないため、オッドアイになりやすいという説が濃厚です。
希少な存在!オッドアイの猫とは
白猫にオッドアイが多い理由はW遺伝子が原因ということがわかりました。
オッドアイが昔から幸運の証として、好まれていたのにはその希少性の高さも理由の一つです。
白猫は全猫数のおおよそ5%しかいないと言われています。その5%の中からオッドアイになる確率は、さらに約25%とも。
もしあなたの周りに100匹の猫がいたら、100匹中5匹だけが白猫・5匹中1.25匹だけがオッドアイ
つまり、白猫の、さらにオッドアイになっている確率は、100匹中1匹ということです!
出会えることがすでに奇跡のような存在なのです。
ちなみに、オッドアイの動物として知られるシベリアンハスキーという犬種は4匹中1匹、人間の場合オッドアイとして生まれてくる確率は、アジア人は1万人に1人、白人では1万人に6人と言われていて、やはり白人が多い傾向があるようです。
オッドアイを探せ!白系猫種3選
白猫がオッドアイになりやすいとのことでしたが、かなり低い確率であることがわかりました。
簡単とはいかないかもしれませんが、白猫が多い猫種を探してみると出会えるかもしれません。
ターキッシュバン
トルコ原産の、水で遊ぶのが大好きな猫種です。
水泳猫とも呼ばれることもあり、その毛皮は防水性にすぐれています。
一般的に猫は水が苦手な子が多いので、とても珍しい種類です。
目色はブルーとコハク色。
やや大きめの体は、頭としっぽのみ色がつく「バンパターン」と言う模様が特徴的です。
被毛の色は黒、茶、クリーム、トーティシェル(黒と茶などのまだら模様)、トーティ(サビ猫)、ブルーグレー、赤などがあげられます。
オッドアイのみならず、その個性的なカラーの被毛も楽しめそうですね。
ターキッシュアンゴラ
こちらもトルコ原産地の猫種で、細身でしなやかな筋肉とすらっと伸びた四肢が特徴的です。その美しさと優雅さから別名「トルコの生きる国宝」とも呼ばれています。
被毛は白のみではなく、さまざまな色を有しています。
目色はブルー、アンバー(こはく色)、ゴールド、グリーン。
ターキッシュバンよりカラーパターンが多い印象です。
かの有名なマリー・アントワネットの愛猫でもあり、白の被毛と美しいオッドアイを持つ個体はモデル猫としてよく使われています。
ジャパニーズボブテイル
丸く短いしっぽが特徴的な日本原産の猫種です。
招き猫のモデルともいわれている猫種で、丸顔だったり細面だったりと、しっぽ以外は多様性に富んだボディタイプをしています。
目色は、被毛に準じた色をしています。
白地の三毛猫にオッドアイが多く見られる傾向があるようです。
ちなみに被毛色を表す「三毛」は、ジャパニーズボブテイルにのみ許された表記で、海外の三毛猫は「キャリコ」と呼ばれています。
オッドアイは寿命が短い?
白猫の青色の目は聴覚障害が起こりやすい
オッドアイの猫は、美しさだけではありません。
W遺伝子の影響で聴覚障害が起こりやすいことがわかっているそうです。
- 目が青色 60~80%
- オッドアイで青い目側のみ 30~40%
- 目が青色以外 10~20%
また、白猫以外の先天性聴覚障害はほぼないと言われています。
このことから、オッドアイが聴覚障害なのではなく、『白猫限定のオッドアイ』が聴覚障害になりやすいのがわかります。
猫は耳が非常に良いと言われています。
これは猫が狩りをして暮らしていた頃、獲物の位置を認識するためと言われてきました。
狩りをする際、耳が聞こえない、または聞こえづらい場合、狩りをすることが困難になり、獲物が獲れなくなってしまい、逆に捕食者が近づいてきた時に気付きづらく、危険な状態に陥りやすくなってしまうのです。
その結果、長く生きられず、オッドアイは寿命が短いと言われ続けてしまったのかもしれません。
白毛の動物は、野生下では目立ちすぎる
白い毛は、草むらや暗い場所でも目立ちやすく、太陽光を反射させたりするため、捕食者や獲物に見つかりやすく、とても狙われやすくなってしまいます。
このことから白猫は
- 隠れられず、敵に見つかりやすい
- 音が聞こえづらく、危険回避能力が低い
- 狩りをするにも、獲物に見つかりやすく獲れないことも少なくない
となり、結果短命になる可能性が高いと言われています。
ただ、あくまで古来より野生下で生活をしていた時の話なので、室内飼でしたら危険ほぼないため、オッドアイだから短命ということはないかと思われます。
オッドアイの猫の飼い方は?
紫外線に要注意
オッドアイは目のメラニン色素が少ないため、紫外線の影響を特に強くうけてしまいます。
強い太陽光を受け続けると、目の細胞を守ることができず、病気にかかりやすくなってしまう事も少なくありません。
また、皮膚もあまり強くなく、過度に紫外線を浴び続けると皮膚病や皮膚がんになる可能性もあります。
ですが、猫は暖かいお日様がとても好きな生き物です。
キャットタワーは午前中のみ太陽があたって、午後から陽がかげる半日陰の場所に設置したり、紫外線カットカーテンを設置するなど、常に直射日光にさらされない対策をとりましょう。
完全室内飼いが理想
オッドアイの白猫は耳が不自由な可能性が低くないため、外の世界だとたくさんの危険にさらされてしまします。
また、白猫以外のオッドアイについても、紫外線や病気から目を守るためにできるだけ室内飼いにして守ってあげましょう。
常に周りを警戒する生活
野良のオッドアイは耳が聞こえにくい傾向があるため、神経をとがらせて常に周囲を警戒している傾向にあります。
そのため、ストレス由来のほかの病気にもつながってしまいます。
もし、あなたが野良のオッドアイを家族として迎える時が来たら、可能な範囲でゆっくり過ごせるような環境を作ってあげると良いでしょう。
オッドアイの他の呼び方
オッドアイの呼び方は、他にも「バイアイ」「幸運を運ぶ猫」とご紹介しましたが、また違った呼び名があります。
オッドアイはその美しさと希少性から、さまざまな呼び名とともに、世界中で愛されてきました。
金目銀目
昔の日本で呼ばれていた名称です。
片方が黄色でもう片方が淡い銀灰色、または淡青色の猫のことを呼び、一部では神様の使いとも言われており縁起ものとされています。
宝石(ダイヤモンド)の瞳
タイでの呼び名です。もとは青い目をしたシャム猫への呼び方でしたが、現在はオッドアイの猫を指し示す言葉として浸透しており、シャム猫同様とても大切にされています。
まとめ
美しく神秘的なオッドアイには、視力・聴覚の問題を抱えていることがわかりましたが、人間と暮らし、環境を整えてあれば、ほかの猫と何にも変わりません。
いっぱい愛情をもって暮らしていきたいですね。 オッドアイを見かけたら、美しさやかわいらしさから、たくさん構いたくなってしまいますが、まずはそっと優しく接してあげることから意識しましょう。
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